硝子体注射
硝子体注射
眼球内に直接薬剤などを入れる治療法です。
注入するお薬のほとんどがVEGF(血管内皮増殖因子)という物質のはたらきをおさえる抗VEGF剤です。
VEGFは、異常な血管(新生血管)が生じる加齢黄斑変性や病的近視による脈絡膜新生血管、網膜の中心にむくみ(浮腫)が生じる糖尿病黄斑症、網膜血管閉塞、といった疾患に深くかかわっています。このVEGFのはたらきをおさえる抗VEGF剤を眼内に注入することにより状態の改善・安定化をはかります。
その他、抗菌薬やステロイド剤、特殊なガスを注入する場合もあります。
点眼麻酔と消毒をした後に行います。1回の治療は1分程度で終了します。
当院では感染症のリスクを極力下げるため、硝子体注射は、すべてクリーンな手術室でおこなっております。
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは
網膜の中心部で、ものをみるのに最も重要な黄斑部が加齢によりおとろえ、視力が低下することがあり、これを加齢黄斑変性と言います。高齢者の失明原因の一つとされ、近年は増加傾向にあります。喫煙、紫外線による酸化ストレス、偏った食生活などが、この疾患のリスク因子であると言われています。
加齢黄斑変性には萎縮型と滲出型があります。萎縮型ではゆっくりと網膜が障害され、残念ながら効果的な治療はありません。滲出型は脈絡膜新生血管という異常な血管を生じる状態で、この血管から血液成分が漏れ出すと網膜がむくんで、ゆがみなどの症状が出ます。さらに出血がおこると、中心が暗く見えにくくなり、視力が低下します。
治療について
滲出型の加齢黄斑変性と診断された場合は、治療により視力を維持もしくは改善するために治療することが推奨されます。治療には、抗VEGF剤の硝子体注射が行われます。その他、レーザー光凝固や光線力学的療法という治療が必要なこともあります。
抗VEGF剤の硝子体注射は1ヶ月毎に3回治療を行い、その後は病状をみながら再注射のスケジュールを相談することになります。
近視性脈絡膜新生血管
近視性脈絡膜新生血管
強度近視といわれる強い近視の目では眼球が前後に伸びた状態になっており、眼球の構造が薄くなっています。薄くなってしまったところから脈絡膜新生血管という異常な血管が生じることがあり、この血管から血液成分が漏れ出すと網膜がむくんで、ゆがみなどの症状が出ます。さらに出血がおこると、中心が暗く見えにくくなり、視力が低下します。強度近視の約10%に脈絡膜新生血管があると言われています。
治療法について
放置した場合に視力が悪化しますので、治療することが推奨されます。治療には、抗VEGF剤の硝子体注射が行われます。
抗VEGF剤の硝子体注射を1回行い、その後は病状をみながら再注射が必要かどうかについて相談することになります。
糖尿病黄斑浮腫
糖尿病黄斑浮腫とは
糖尿病は細かい血管がつまりやすくなる病気です。網膜の血管は非常に細かいのでつまりやすく、糖尿病をお持ちの方は眼科を定期的に受診していただかなければなりません。血管のつまりが進行し、血管から血液や血液成分がもれて眼底出血や網膜浮腫(むくみ)が生じ、これが網膜の中心部である黄斑におよんだ状態を糖尿病黄斑浮腫といい、ゆがみや視力低下をひきおこします。
治療について
化糖尿病黄斑浮腫の治療として抗VEGF剤の硝子体注射が標準的となっています。むくみが少なくなれば視力の回復が期待できます。病状が落ち着くまで繰り返しの注射が必要になります。
網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫とは
網膜静脈閉塞症は網膜の静脈が詰まって血液が流れにくくなる疾患です。主に高血圧や動脈硬化によって引き起こされることが多いと言われています。静脈が詰まると、心臓に帰るはずの血液が帰れなくなり、静脈から血液や血液成分があふれ出すようになります。眼底出血が生じたり、網膜浮腫(むくみ)を起こすようになります。眼底出血や浮腫が黄斑におよんだ状態を黄斑浮腫といいます。視力は低下し、放置すれば回復が難しくなります。
治療について
網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫の治療として抗VEGF剤の硝子体注射が標準的となっています。むくみが少なくなれば視力の回復が期待できます。病状が落ち着くまで繰り返しの注射が必要になります。